■2003年日本経済を明るくする注目企業
株式会社ケミテック生ゴミを水と炭酸ガスに分解する 「消滅型」の本格的な処理機を開発
十二月から大分の離島の生ゴミを島内で全量処理するプラントが稼働

本社(クリエイション・コア福岡)
二〇〇一年五月の食品リサイクル法の施行以来、業務用生ゴミ処理機の関心が高まっているが、バイオベンチャーの株ケミテック(本社・福岡県筑紫野市、社長・山岡守氏)が七年前に開発した『スーパーワイティ』は、二一種類の土壌菌が従来の処理機では難しかった魚や肉の骨なども完全に消滅させるとして注目を集めている。自治体など公的機関を中心に納入され、この十二月からは大分県津久見市の保戸島の生ゴミを全量処理するプラントを稼働させた。消滅型生ゴミ処理機の本格派といわれるその内実に迫った。
福島の「未来博」で高性能を実証
現在、生ゴミ処理機は微生物で処理後、農家などに堆肥として引き取ってもらうコンポスト型と、消滅型の二つに大別されるが、前者は生ゴミの塩分や有機化合物が農作物に適さないなど、堆肥の引き受け手が少なく、後者も消滅型とはいえ微生物では分解できない残滓物(魚や肉の骨など)が発生し、ある一定期間の周期でそれを取り出さなければならない。同社の『スーパーワイティ』は、この残滓物をも分解する二一種類の土壌菌を山岡社長が苦心惨憺のうえ開発した「メディアムバイオ」と呼ぶバイオ製剤により、二時間から最長でも五日間で水と炭酸ガスに完全に分解し、臭いも出ない画期的な生ゴミ処理機だ。
「三十数年前、業者として出入りしていた東京・築地の中央卸売市場で魚介類の廃棄物を微生物で処理しようとしていた、ある民間の研究者と運命的に出会い、それから会社勤めの傍ら、いつ完成するか目処も立たない微生物の研究に没頭し始めた…。
二六年間の試行錯誤の結果、例えば地下四千mにしか存在しない特種な微生物を始め、二一種類の土壌菌を独自にブレンドして開発したのが『メディアムバイオ』です。開発当初、海外の大学教授が科学の粋とスーパーコンピューターで分析してみせると豪語したが、今だに開発できていません(笑)」と、独創的なこのバイ オ製剤に絶対の自信を みせる山岡社長。
生ごみ処理機「スーパーワイティ」
一九九五年に開発以来、車の荷台に製品を載せて、自ら運転しながら自治体など全国行脚したが、全く相手にされなかったという。そんな同社に、福島県から突然の引き合いがくる。「メディアムバイオ」により残滓物が一切残らず、完全に消滅する『スーパーワイティ』を、県が主催する「うつくしま未来博」(二〇〇一年七月七日〜九月三十日)で、会場内の生ゴミ処理機として採用したいという話だった。
この製品の性能に関心をもったある人が、出身地の福島県に持ち帰り、それが県の担当者の目にとまったのだ。結局、二〇〇kg/日処理タイプ四台が会場に納入されたが、同社の『スーパーワイティ』は県や未来博当局の期待を裏切らなかった。特に、最盛期の旧盆期間中に発生した生ゴミを、この四台で文字どおり“完全消滅 ”させ、俄然その評価が高まった。
「環境をテーマにした未来博当局は大手企業の生ゴミ処理機も比較したようですが、残滓物が出ないのは当社製品だけだったようですこの実績を伝え聞いた自治体など公的機関からの見学が多くなり、それが受注に結びついていった」(山岡社長)。この結果、〇二年四月に財電力中央研究所(電中研我孫子研究所(千葉県我孫子市)の社員食堂に採用され、続いて五月には大分県の津久見市立第二中学校の給食室に納入された。
離島の生ゴミを低コストで処理
セメントの街として知られる津久見市は、早くから循環型社会づくりに取り組んできた自治体だが市内の中学校で採用された『スーパーワイティ』の実績を受け、この十二月から市内の保戸島(人口約一六〇〇人)内で発生する食品廃棄物を同社の五〇〇kg/日タイプで全量処理することにした 。
「保戸島は、昔から遠洋漁業のマグロ漁が盛んな所で、解体したマグロの骨や頭などのアラが多量に出る島です。これを市が運搬船で焼却場に運んで処理していた。第二中学校での処理能力を見て、島内でアラなどの食品廃棄物を “消滅”させるため、今回当社製品が採用されたわけです。現在、九州地区の離島の四カ所から、同様の引き合いがきています」と、語る山岡社長。
長崎県のある離島では島内で出る生ゴミを一カ月間貯蔵し、それをチャーター船で宮崎県へ運び、そこで焼却しているという。「自治体からすれば、その焼却にかかる膨大なコストを考えれば島内で消滅処理する当社製品が初期投資はかかっても、はるかにコスト低減になるわけです。保戸島が離島の生ゴミ処理のモデルとなり、今後急速に普及するのでは」s同社長)と期待する。
一方、電中研の納入を契機に、全国の電力会社がその導入を検討中で、現在株九電工(本社・福岡市)の環境ソリューション部が同社製品の販売代理店として活動中である。さらに、民間企業では株ソニーと株豊田自動織機の折半出資の液晶ディスプレイ会社が生ゴミ処理機として導入する見込みなど、特にISO14000取得企業での関心が急速に高まってきているという。「今後は業務用はもちろん、昨年一部の地区で販売し好評だった家庭用を本格的に普及させていきたい。また、現在地元の大学と共同でBSE(牛海綿状脳症)の牛骨粉をこの生ゴミ処理機で消滅させる実験も行っており、もう直ぐ結論がでる予定です。当面は、自治体や公的機関、大企業中心に売り込みを図り、事業基盤を強化したい」と語る山岡社長は、新しい年に大きな飛躍を期している。
会社概要
社名/株式会社ケミテック設立/昭和63年8月1日
資本金/1000万円
代表者/代表取締役 山岡 守
事業内容/生ゴミ処理機の製造販売・消臭剤の製造販売
本社/〒818-0041 福岡県筑紫野市
上古賀3−328−3
クリエイション・コア福岡
TEL (092)919-2850 (代)
FAX (092)919-2851
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